伊藤潤二『コレクション』感想・放送内容まとめ【ネタバレあり】

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伊藤潤二コレクション感想-top

いよいよスタートした伊藤潤二先生のアニメ『コレクション』

規制の厳しいこのご時世で、伊藤潤二先生のホラー漫画をどこまで再現できるのか、注目だ。
もし再現できないのであれば、伊藤潤二ファンからの非難は免れない。

しかし、『伊藤潤二研究』で伊藤潤二先生と対談した田頭しのぶ監督は、伊藤潤二作品の大ファンと発言していたので、アニメには大いに期待している!

この記事では、伊藤潤二『コレクション』についての放送内容と、私の感想をまとめる。

注意
この記事にはネタバレを含む。
また、生理的に不快な表現があるため、ご注意願いたい。

目次(読みたいところをタップ)

第1話ー1『双一の勝手な呪い』コレクションNo.068

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記念すべき第1話目は人気の双一シリーズから『双一の勝手な呪い』だ。

全編を通して、余計なカットや、セリフが入らないのは非常に好感度が高く、監督が伊藤潤二作品を愛していることが伝わってきた。

カットされたセリフもあるものの、作中のセリフも同じ。
双一が秋山から懐中電燈をもらったときに自らを照らす演出はよかった。

巨大な怪物になった双一が、石坂を追いかけるシーンも迫力満点で動画のパワーを感じた。

原作からの変更点でここは残して欲しかったなーと思うところもあった。

  • 渡り廊下で双一が秋山に声をかけるところ

原作では秋山のなんとも言えない表情が良かったので、残念だ。

  • 地主が人形を踏みつけた音(グシャ→ピーみたいな音)変更された

グシャのほうが、地主の威圧的なところが出てよかったのかなと思う。

  • 杉林に入っていく地主が「こいつで犯人を八つ裂きにしてやる」というところ

邪悪な地主のイメージが出来て、いいシーンなので残してほしかった。

  • 兄が双一を助けた後に「ビビったぜ」と思ったところ

兄弟愛を感じるシーンなので、兄に喋らせて欲しかった。

もったいないなーと思ったところは、これぐらい。
コマの絵を活かしたアニメ作りになっていて、今後の作品にも大きな期待が持てた!

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『双一の勝手な呪い』は伊藤潤二傑作集3にも収録されている。

第1話ー2『地獄の人形葬』コレクションNo.090

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第1話は『双一の勝手な呪い』の尺が長かったため、このまま終わるかと思った。
伊藤潤二先生が描いた短編の中でもかなり短い『地獄の人形葬』が放送された。

私は『地獄の人形葬』がかなり好きなので、うわ!やったー!と思った。

えむ

クオリティが高すぎる

ここまで完璧に再現してくれるとは思わなかった。

この作品は朽ちていく人形をどれだけ丁寧に、そして悲惨に見せられるかがポイントになる。
最後のカットは完全に原作と同じだった。

本当に素晴らしい出来でした。そして初回に『地獄の人形葬』を選択したセンス。最高です!

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『地獄の人形葬』は伊藤潤二傑作集10にも収録されている。

第2話ー1『ファッションモデル』コレクションNo.041

第2話は伊藤潤二作品の人気キャラクター・淵さんが登場する『ファッションモデル』
『ファッションモデル』で一番重要なのは何と言っても淵さん。

気になったところをまとめると、

【物足りなかったところ】

  • 雑誌の淵さんが微笑んでいるところがカットされている
  • 淵さんが最初に岩崎を追うシーンの迫力が物足りない

【良かったところ】

  • 移動の車内で笑う淵さんの牙の描写は、かなりいい。
  • 珠枝ちゃんを食べた後、淵さんが追ってくるところは迫力満点で最高。

最終的には動く淵さんの迫力がよく出ていて満足だった!

それ以外には、岩崎が淵さん恐怖症を克服するために本屋に行く描写は削らないで欲しかったと思う。

怖いものと対峙するためにわざわざファッション雑誌を探しにいくというのは、そこまでしないといけないぐらい淵さんがこわいということなので、入れて欲しかった。

あと、三宅が珠枝ちゃんの状況を伝えにきて、必死に伝えるところはよかった。
三宅の顔のアップから、三宅の必死さが伝わってきて、ワクワクした。

やっぱり動く淵さんはいい。あの迫力を出してくれるアニメになっていて、ワクワクドキドキだった!

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『ファッションモデル』は伊藤潤二傑作集6にも収録されている。

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第2話ー2『長い夢』コレクションNo.084

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続いては伊藤潤二作品の中でも名作と言われる『長い夢』
麻美がかわいい!伊藤潤二作品の中で女性のかわいさは重要なポイント。

少し物足りなさを感じたのが、向田の夢についての描写。
原作では夢がどんなものなのかを説明するところがある。向田が悪夢と言ったところでは、バケモノじみた絵が出てくる。

夢がどんどん長くなっていると訴える場面では、ジャングルの兵士となって過ごした10年や、受験戦争、8年間のトイレ探しなど、向田が実際に見た夢が語らる。

この描写は、向田が見ている夢がいかに辛いものであるのかを説明する大切な描写。
すべてカットされたことは納得がいかない。

対象的にすごくよかったのが、向田が朽ちていくシーン。ここは素晴らしかったです。
向田がでろーんとした状態になってから、ボロボロ、サラサラとなくなっていくシーンは動画ならではですね。

作画のクオリティも高くて非常に良かったです。

えむ

向田の儚さが辛い

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『長い夢』は伊藤潤二傑作集9にも収録されている。

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第3話ー1『死びとの恋わずらい』第1話「四つ辻の美少年」コレクションNo.080

双一、淵さんと続いた『コレクション』だが、ついに「四つ辻の美少年」が登場した。
「四つ辻の美少年」は『死びとの恋わずらい』の1話目だ。

冒頭に1人目の被害者を持ってくる演出がいい。

原作では龍介の家族が出てくるが、そのシーンがすべてカット。
このシーンのカット自体はそこまで影響はありません。

しかし、5人の被害者が亡くなった場所の中心が10年前の辻占の場所だったという展開は重要なシーン。
カットしないでほしかった……。

ちなみに龍介が責任を感じている辻占、原作では10年前だが、アニメでは8年前に変更されていた。
心なしか龍介の心労の表情があまり見られなかったのも少し残念だ。

しかし、鈴枝ちゃんが素晴らしい!

私は鈴枝ちゃんファンだが、監督もおそらく鈴枝ちゃんファンなのではないかというぐらいに鈴枝ちゃんのクオリティが高い。

鈴枝ちゃんの血が逆に吹き出していたところだけは気になりましたが、徐々に痩せこけていくところや、みどりに私は龍介が好きだと宣言するときの表情は、まさに鈴枝ちゃんそのもの。

必見は亡霊なった鈴枝ちゃんの「死ぬほど好きいーーーー」
溢れんばかりの鈴枝ちゃん愛を感じた。

えむ

鈴枝ちゃんファンにはたまらない出来よ

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『死びとの恋わずらい』は「四つ辻の美少年」を含む全話が伊藤潤二傑作集4に収録されている。

第3話ー2『なめくじ少女』コレクションNo.066

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『四つ辻の美少年』に続いて放送されたのは、これまた名作『なめくじ少女』

原作では利恵が一度夕子のお見舞いにきて、翌日また訪れたときになめくじ少女誕生!という展開だ、アニメではお見舞いにきた初日でナメクジとご対面することになっていた。

夕子の口からナメクジが出てくるシーンは、リアルに表現するとかなり気持ち悪いシーンになる。
どう表現するのかと思っていたが、そのまま再現してきた!

その再現度は原作をも凌駕するほどの気持ち悪さ。

えむ

よく再現したわね、この気持ち悪さ

見ている私も少し気持ち悪くなったほど。

しかし、唯一残念だったのはナメクジになった夕子がこちらを見るシーン。
なぜ引きで全体を見せないのか。

あのシーンは庭の中で夕子が悲しそうな目でこちらを見てくるところが一番大切であって、その目だけを見せれば良いものではない。このシーンには少しガッカリした。

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『なめくじ少女』は伊藤潤二傑作集9にも収録されている。

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第4話ー1『寒気』コレクションNo.034

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『寒気』をテレビで見られるとは思わなかった。
その理由はなんと言っても、その恐ろしい描写。果敢に挑んでいく制作陣の心意気を感じる。

個人的には少しに気になった部分が2つあった。

祖父の日記のくだりで、祖父が翡翠入れるところの説明がない部分。
友人が置いていったという説明がないので、初見の人はなぜ祖父が翡翠を持っていたのか分からない。
この部分は不親切に感じた。

あと、祖父が翡翠を外に投げ捨てた部分では、隣家の庭に落ちてしまい、隣家に翡翠の影響がないように願う部分がカットされており、祖父のイメージが良くないように思う。

それ以外のクオリティは高い。特にカラーで見る翡翠の下品な輝き。
気持ち悪いのに、不思議に惹きつけられる感じがよく出ていて素晴らしい!

そして穴のリアルさ。引きで見るとあまり感じなかったが、アップになった時のリアリティは不気味そのもので、これも素晴らしかった。

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『寒気』は伊藤潤二傑作集7にも収録されている。

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第4話ー2『あやつり屋敷』コレクションNo.060

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『寒気』の次は、私が愛してやまないジャン・ピェールが登場する『あやつり屋敷』
冒頭のトラックが走っているところから、すでにワクワクした。動いているジャン・ピェールが見られるというだけで昇天しそう。

床に落ちたジャン・ピエールを徐々に引いて見せて行く場面は情念が感じられる。

ただ唯一残念だったのが、ジャン・ピェールが絹子と会ったあと、治彦が家族を助けに行くシーン。

原作ではテーブルの上に椅子をのせ、天井裏に上がった治彦が、うつろな目の使用人たちを見るはずが、アニメでは天井裏に上がれなかったことにされていた。

このシーンはジャン・ピェールにあやつられ、狂っていく人間の描写して大切だっただけにカットしないでほしかった。それ以外は、原作愛のあるアニメになっていて大満足。

特に人形たちが動くたびに鳴る木の音。この木の音だけでニヤニヤが止まらなくなる。

えむ

動くジャン・ピェールってかわいい

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『あやつり屋敷』は伊藤潤二傑作集8にも収録されている。

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第5話ー1『押切異談』コレクションNo.040

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押切トオルに巻き起こる不思議な出来事押切シリーズ。シリーズ名となっているのが、今回放送された『押切異談』だ。

今回放送された『押切異談』には少し不満がある。
『押切異談』は溶けるバケモノの気持ち悪さが重要だが、青山が溶けるシーンではコミカルさのほうが強く出てしまい、恐怖が感じられない。

楽しみにしていたシーンの1つだっただけに残念でした。

しかし、続いて出てきたジャバ・ザ・ハット未央はよく出来ていた。

廊下いっぱいにモリモリと肥大化する未央の気持ち悪さは表現されていた。
(まだコミカルさが残っていたが……)

他に気になったところは未央からトオルへの気遣い部分がカットされていたところで、

  • トオルと青山がもみ合った後、未央がトオルに謝るシーン
  • 異次元のトオルの不意打ちをこちらの世界のトオルに伝えるシーン

この2つがカットされており、未央がトオルを気遣っていることが伝わりづらくなっている。

全体を通して上手くまとまっているともいえる。
しかし『押切異談』を放送するのであれば、このあとに続けて放送する作品を『押切異談・壁』にしてシリーズを続けたほうがよかったのでは?

シリーズを連続放送したほうが、『押切異談』は異次元との話が主軸であることが分かりやすかったはずだ。

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『押切異談』は伊藤潤二傑作集10にも収録されている。

第5話ー2『布製教師』コレクションNo.049

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私の大好きな『布製教師』が放送された。
冒頭に出てくる布製・柳田先生のクオリティが高く、興奮してした。

そのあとに登場する布製・曽我先生のクオリティも漫画そのままで、制作陣の愛が伝わってきた。

それだけに納得できないのが、安城百合子の不在。

『双一の家庭訪問』のラストで柳田先生が布製にされるところから繋がっているのが『布製教師』だ。

どちらでも重要な役割を果たすのが、安城百合子。
それなのに、安城百合子が出てこないのはなぜなのか。大いに疑問かつ不満だ。

布製教師2人をあれほどしっかり作り込んだのに、本当にもったいない。

あと『押切異談』と同じく『布製教師』も『双一の家庭訪問』からの要素が多いため、続けて放送したほうが、より面白い作品になったのではないかと思う。

ところどころ不満はあるが、布製教師2人のコミカルさは本当に面白く、アニメならではの楽しみ方が出来て、よい作品に仕上がっていた。

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『布製教師』は伊藤潤二傑作集3にも収録されている。

第6話ー1『隣の窓』コレクションNo.067

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私のお気に入り作品『隣の窓』が放送された。『隣の窓』は文句なしの完成度!
不気味な奥様が見事に表現されていて、『隣の窓』好きの私も大満足だ。

えむ

特に物干し竿がかかるところが最高

ヒロシと両親が部屋をかわる件がカットされていたが、それほど大きな問題ではなく、よくまとまっていた。

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『隣の窓』は伊藤潤二傑作集9にも収録されている。

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第6話ー2『緩やかな別れ』コレクションNo.123

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『魔の断片』から初のセレクトとなった「緩やかな別れ」
ホラー要素の強い作品ではなく、少しホッとするお話です。

「残像」を表現する部分はアニメならでは。薄れゆく描写がよく表現されていました。

途中で、夫の誠にどうなの?って思うシーンはあるが、璃子の父の関係に思わず涙腺が緩むほど、見事にアニメ化されていた。

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『緩やかな別れ』を含む伊藤潤二作品を購入するならこちら。
伊藤潤二先生の奇作『木造の怪』も収録されています。

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第7話ー1『中古レコード』コレクションNo.022

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アニメもいよいよ中盤に入ってきましたが、人気作品の『中古レコード』が放送された。

『中古レコード』がアニメ化されたということは、作中で歌われるスキャットが実際に聞けるということ。
以前からのファンはスキャットが流れるのを待ちに待っていたのではないだろうか?

そして実際に流れたスキャット。

小川が亡くなった後に歌い出す部分が削られていて、最後に中山と一緒に歌いだすところが視聴者には分かりにくかったものの、雰囲気が損なわれず、伊藤潤二先生の世界観を出していた。

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『中古レコード』を含む伊藤潤二傑作集を購入するならこちら。

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第7話ー2『道のない街』コレクションNo.038

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友人の久美に関する部分が全カット。尺の問題で仕方がなかったんでしょう。

全編が怪しげな様子が出ており、彩子が「道のない街」に足を踏み入れた後の怪しさは素晴らしかった。

放送が始まってから、叔母さんが裸で登場するシーンはどうするのかなーと思っていたのですが、原作そのまま。この作品そのまま流してしまって大丈夫なのか、未だに不安だ。
※TOKYO MX版では黒塗りにされていた。

切り裂きジャックの怖さも際立っていてよかった。個人的には満足の出来だった。

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伊藤潤二先生の大人気キャラ・淵さんが登場する『ファッションモデル』も収録されている。

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第8話ー1『ご先祖様』コレクションNo.088

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伊藤潤二作品のなかで、なかなかの気持ち悪さを誇る『ご先祖様』

その気持ち悪さゆえにアニメで放送される作品に選ばれるとは思っていなかったが『寒気』を放送するぐらいですから、アニメ班も本気だ。

理佐の部屋に入っている毛虫のシーンは色合いの気持ち悪さが素晴らしかったし、カットされた部分も構成が崩れるほどではなく、いい出来だったが、ひとつだけ言いたいことがある。

えむ

作画があまりにも酷い……

ここまで全話見ている私だが、作画にここまでの違和感を抱えたことはなかった。

シーンごとに目の形はコロコロ変わるし、輪郭もやたらと丸くなったりするところがあり、同じスタッフが作ったとは思えないレベルだった。

伊藤潤二作品のアニメ化は応援しているし、今までの作品は素晴らしいと思うが『ご先祖様』の作画だけは納得がいかない。DVD版までに修正される事を祈っている。

本当に作画だけが残念な出来だった。もったいない!

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『なめくじ少女』『隣の窓』『長い夢』といった怪作も収録されているので、おすすめ。

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第8話ー2『サーカス来た』コレクションNo.027

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なんと渋いセレクト!奇作『サーカスが来た』がセレクトされた。

私が気になったのは、主人公であるヨシユキの妹・ヒロコと友人・コウジの存在が消されているところ。

コウジは直接的に関わってくることは無いものの、レリア嬢の美しさに息を呑むシーンで、アニメのセリフだと「隣の人も同じだろう」と言っているが、

えむ

いや、それ友達のコウジ……

※原作では「隣のコウジも」と言っている。

存在を消すなら「ここにいる連中」にしてしまえばよかったのに、「隣の人」というセリフにこだわる理由が分からない。

このコウジの部分は個人的なこだわりで、物語の進行に直接関わる部分ではない。
そのため、初見の方はなんの問題もない。

しかし、私が重要だと感じているのは、妹のヒロコがナイフ投げのジョーの話を盗み聞くことで、サーカスの団員たちが実は素人であると分かるシーン。

このシーンをカットすることで、人によっては物語が分かりにくくなる。

(団員が素人ばかりで構成されていることについて、アニメでの言及は団長の言葉に観客が反応する部分ぐらいでハッキリとは言っていない)

そして原作のラストシーンでヒロコが泣きながら兄・ヨシユキがサーカスに連れられていってしまったことを母に告げるシーンがあるが、個人的にこのシーンが好きなのでカットしないでほしかった。

あと団長の下アゴに付いている肉が少ないとか、ナイフが刺さった後、引きずられるところでかつらが取れていないなど、些細な部分ではいろいろと気になる部分がある。

出来はよかったものの、妹ヒロコだけはしっかり出演させてほしかったので、結果としては惜しい出来だった。

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名作『中古レコード』や、ひたすらに怖い『寒気』も収録されているので、おすすめ。

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第9話ー1『富江・画家』コレクションNo.072

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ついに富江が登場した!
富江シリーズは数が多いので、どの作品が選ばれるか分からなかったが『画家』をセレクト。
間違いないセレクトだ。

『富江・画家』をアニメ化するのに一番重要なのは、写真に映る富江と、森の最高傑作である富江の肖像画。
肖像画はなかなかよく出来ていたと思うのですが、写真に写った富江の分裂した顔が雑すぎた。

この写真は肖像画が完成する前の導入として、富江の恐ろしさを表現する大切な部分。
もう少しキチンと描けなかっただろうか?写真の富江に関しては、不満だ。

しかし、森が激昂して富江を殺してしまうラストシーンは、よく原作そのままに放送したと思う。
富江が再生し、動きはじめる姿にはゾクゾクしてしまった。作り込まれた良いラストシーンだ。

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富江の初登場からシリーズ中盤までが収録されており、おすすめ。

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第9話ー2『血玉樹』コレクションNo.058

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『富江・画家』に続いて放送されたのは『血玉樹』富江のインパクトに負けない奇作だ。
セレクトは悪くないのですが、アニメ化で原作の内容を削り過ぎ&改変しすぎ。

部屋一面に血の実がなっているところで登場する村人が、原作では「助けてくれ」と言ってすがってくるのに、アニメでは「逃げろ」と言っている。これでは意味が変わってしまう。

安西が加奈と逃げようとしたところに、屋敷の主人が「ダメです」と言いつつ、画面が切り替わると2人で脱出しているシーンもあった。

原作では最初に安西と加奈を襲った子どもたちが、屋敷に押し入ってくることで、屋敷の主人が子どもたちの対応に追われ、2人は脱出できる。

アニメだけ見ていたのでは意味が分からない方もいるだろう。

あえて意味不明にしているものなら分かりるが、丁寧に作られた原作の描写を削るのであれば他の作品を選んだほうがよかったのではないだろうか?

なぜこの尺で『血玉樹』をアニメ化しようとしたのか疑問だ。

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奇妙なあやつり人形が暗躍する名作『あやつり屋敷』も収録されているので、おすすめ。

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第10話ー1『グリセリド』コレクションNo.109

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禁断の扉を開けてしまった伊藤潤二コレクション。
伊藤潤二作品きっての気持ち悪さを誇る『グリセリド』が放送作品に!

私にとって8,9話は作品の出来に不満が多かったが、『グリセリド』のアニメは素晴らしく完成度が高い。

えむ

もう圧倒的気持ち悪さ

このアニメのおかげで新たなトラウマを生んでしまうのではないかと不安なほど。
『グリセリド』のキモである兄のニキビ砲は完全再現!

まさにパーフェクトなアニメだ。
1つ気になったのは、兄がひきこもった後の体つきか。(原作ではあれほどガタイがよくない)

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第10話ー2『橋』コレクションNo.026

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大満足の『グリセリド』に続いて放送されたのは『橋』

「橋と言えば錦五郎さん」というぐらいにインパクトがある錦五郎さんの出来に注目して見ていたが、なかなかのクオリティ。

せっかくよく出来ているのだから、錦五郎さんと加奈子が最初に接触したときに、もっと錦五郎さんドーン!と見せてほしかった。

ストーリーも無駄に切らず、しっかり作っていたので原作の雰囲気そのままのいい作品だった。

ただこれだけは言いたい。川を流れてくるおそでちゃんの目は、あの目じゃない。

アニメでは不安や怖れを感じているような目だが、原作では「無」
あの「無」である目が怖さを増幅させるポイントなのだから、そこはキッチリ作り込んでほしかった。

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第11話ー1『超自然転校生』コレクションNo.055

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伊藤潤二作品のなかでも、SF色が強い『超自然転校生』が放送された。
原作冒頭で行われる、超自然同好会の紹介は全カット。

この部分は本筋に影響するわけではないので、問題ない。
原作に忠実なストーリー展開で、北川の顔の長さが変動する作画以外は、丁寧に作られていた。

私が楽しみにしていた『超自然転校生』のポイントである、パッンパンブクブク柴山くんのいい出来だった。

えむ

この柴山くんを見るために『超自然転校生』を見てるのよ

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第11話ー2『案山子』コレクションNo.035

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『超自然転校生』続いて放送されたのが『案山子』
墓の近くに案山子を立てると、故人を同じような容姿になるストーリーだ。

原作のストーリーからは大きく外していないものの『案山子』に使える時間が少なかったんだろうか?
『案山子』に必要な「間」が全くない。 

それ以外にも、由紀の父がお墓の前に案山子を突き刺すシーンでは、案山子をやさしく設置している。激怒しているはずなのに。

由紀の父は娘の死の原因が俊夫にあると思い、激怒している。
それなのに、案山子を突き刺すシーンでは、その怒気を一切感じない。

これでは、父の心情を表現しているとは言えないのだろうか?

そして、一番ガッカリしたポイントは、原作の伏線全カットで、突然登場する茂ちゃん家族。
アニメだけ見ている人は、突然出てくる茂ちゃん家族に戸惑うはず。

しかし、原作では最初から茂ちゃんの伏線がある。

それを全部カットして、最後のインパクトのあるところだけ登場させた。
ストーリーに異物が入っているような感じを受けてしまいます。

茂ちゃん案山子が復讐したあとで、母(妻)が「あなたなの、茂を殺したの」と言うが、理解が早すぎる。
このシーンこそ「間」が大切なシーンなのに、それも一切ない。

出来がいいとは言えない『案山子』だが、良かったところもある。
案山子の由紀、茂ちゃんの表情は良かった。

これだけ案山子をよく描けていても、ストーリーを大幅にカットして原作の良さをなくしてしまうのは頂けない。

時間の制約があるのは分かりますが、それであれば別の作品を選ぶのも手だったのではないかと思う。

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第12話ー1『潰談』コレクションNo.116

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いよいよ最終回。その前半を飾るのは『潰談』だ。

『怪談』はおいしい蜜を巡る、人間を欲望を描いた作品だだ、潰される時の迫力も魅力の一つ。

冒頭で尾木がペシャンコの状態で発見されるだが、一同は尾木かどうか確認もせずにその場を去る。

原作では杉男が「これは尾木のシャツだ」と潰されているのが尾木であることに言及すると同時に恐怖を煽るのが、アニメにはそれが一切ない。

終盤の有枝が錯乱するシーンは良く出来ており、植物の完成度もよかっただけに、必要部分がカットされたことで、作品のクオリティが下がってしまうのはもったいない。

原作を読んでいないと気にならない部分ですが、杉男・有枝・亀田がファミレスで話していたシーン、原作では外での会話なので、違和感があった。

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第12話ー2『噂』コレクションNo.071

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伊藤潤二コレクションのトリを飾るのは、双一と淵さんが共演する『噂』

ちょこちょことカットされた部分はあるものの、大筋に与える影響はなく、よくまとまっていた。

原作ファンとしても、スモッグスの健太郎の容姿が流れたのは、嬉しいポイントだったのではないだろうか。
(原作では容姿が描かれていない)

口裂け女を淵さんいアレンジした「路地に立つ女」のシーンもワクワクする出来だった。

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