タダで仕事をしていたサポートドラマーを立派なプロミュージシャンに変えた話

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タダで仕事をしていたサポートドラマーを立派なプロミュージシャンに変えた話

私がサポートドラマーとして収入を得ていたときに、お金に悩んでいたドラマーがいました。

Sくんは音楽ジャンルが違えど、私よりも顔が広く、演奏も圧倒的に上手かったにもかかわらず、ギャラを一切もらっていませんでした。

なぜキッチリと仕事をこなしていたSくんが無報酬で働いていたのか、その理由を聞いて私は驚きました。

この記事では、ギャラなしで仕事をしていたサポートドラマーが、ギャラをもらって生活できるようになった話を書いていきます。

私とSくんが話した内容から、どうしたらタダ働きミュージシャンから脱出できるのかをお伝えします。

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目次(読みたいところをタップ)

登場人物

えむ

サポートドラマーとして活動してから1年程度、徐々に仕事も増えて収入も上がってきた。

Sくん

えむよりも5歳年上。自分が所属するバンド以外にも5つのバンドのサポートをやっているが、ギャラはゼロ。
ファミレスのバイトで生計を立てているが、サポート依頼が多く満足にアルバイトに入れず、生活に困っている。

悩み1:所属バンドとサポートバンドの両立

Sくん

自分のバンドとサポートバンドがあって、それぞれツアーもガンガンいくから空き時間もあんまりなくて、何を優先したらいいのか分からないんだよね。

えむ

それぞれのバンドでどこが一番好きなの?

Sくん

自分のバンドはもうずっとやっているから愛着もあるし……他のバンドさんもいい人だし……

えむ

えぇ?自分のバンドって愛着だけで続けてるの?

Sくん

うん!

えむ

マジか……。

Sくんの場合、音楽がとにかく大好きで、お金なんて二の次という考え方です。

私はそんなSくんの音楽への情熱が大好きですが、生活が出来ないのでは音楽は楽しめません。

まず彼と話していて驚いたのは、自分のバンドを惰性で続けていたことです。

このバンド自体が惰性で続けているものでも、充分な収益が上がっているのであれば、続けるのもアリですが、楽しくもない、赤字のバンドを続ける必要はありません。

私がここでSくんに提案したのは所属している自分のバンドをやめることです。

もう8年一緒にやってきたバンドですから、メンバーに愛着があるのは当然ですが、Sくんが気乗りしないまま続けてもいい結果が出ることはありません。

この話をしたあと、Sくんはメンバーに脱退することを伝えて、メンバー全員で泣きながら酒を飲み、快く送り出してもらえました。

ポイント
音楽を仕事にするなら、収益が上がらないバンドをやめることも必要

悩み2:すでに受けているサポートバンドへのギャラ交渉がしにくい

えむ

サポートで仕事を受けてるバンドさんからのギャラはいくらもらってるの?

Sくん

え?一銭ももらってないよ?えむはギャラもらってるの?

えむ

当たり前じゃん!全部のバンドからちゃんとギャラもらってるよ。

Sくん

すげぇー!でも元々ノーギャラで受けた仕事だし、いまさら言いにくいよ。

えむ

もしギャラに納得がいかないって言われたら、それは本当にSくんが必要なんじゃなくて、ギャラのかからない人が必要なだけ。さっさと切って次の仕事をもらおうよ!


Sくんのスケジュールを聞いたらほとんどがバンドで埋まっていて、その合間にアルバイトをしているとのことでした。

もちろんバンドの予定が全てギャラをもらえるものであれば、なんの問題もないのですが、全て無報酬、というよりも持ち出しのほうが多かったのです。(サポートミュージシャンに交通費すら出さないとか、そのバンド正気かな?と思ったことは秘密にしておきます)

サポートミュージシャンとして生活していきたいなら、ギャラをもらうのが当たり前ですし、ギャラがない仕事は受けないことが大切です。

Sくんが言うように、ノーギャラではじめたバンドからギャラをもらうのはなかなか言い出しにくいです。

私もどうしても断れない仕事をノーギャラで受けたことが何回かありますが、3ヶ月後ぐらいには正規のギャラをもらえるように交渉したことがあります。

内心は切られるだろうなと思いましたが、どのバンドも快く満額のギャラを支払ってくれました。

私が感じたことですが、バンドマンはどうもお金の話を嫌う人が多く、お金をもらわないことを美徳であるように語る人が多いです。

それは違いますし、音楽は生活の基盤があってこそできるものです。どんな仕事であってもその対価は得るべき。

Sくんは、思い切って今受けているすべてのバンドにギャラの交渉をしました。

その結果、1つは折り合いがつかなかったものの、それ以外のバンドでは快くギャラの支払いを了承してもらえました。

ポイント
ギャラの支払いを嫌がるのは、あなたが必要なのではなく、ノーギャラのミュージシャンが欲しいだけ

悩み3:仕事のもらい方が分からない

Sくん

ちゃんとギャラをもらって仕事するのは分かったけど、そんな仕事なんてホイホイくる?

えむ

私は自分のバンドをやめて、サポートドラマーになるって決めたときに、今まで連絡先を交換したすべてバンドマンとかライブハウスの店長に連絡して、ドラムのいないバンドがあったら紹介してくださいっとお願いしたよ。

Sくん

それだけで仕事くるもんなの?

えむ

すぐ仕事もらえたよ!関係者とは仲良くしてたし、単発のイベントでお試し採用してくれるバンドもあったよ。

Sくん

マジ?とりあえず連絡してみる!

Sくんは底抜けに明るい人で、出会ったらその日に友達!みたいなタイプの人なので、業界内で顔が広く、年長者にも気に入られるタイプでした。

そんなSくんが仕事を探しているとなれば、すぐ仕事が入ることは分かりきっていました。

私の予想通り、Sくんが連絡した直後から、たくさんの仕事の依頼があり、Sくんは断りにくいと悩んでいました(笑)

Sくんのように誰とでも仲良くなれる人は、顔も広いので話が進みやすいですが、ちょっと内気な人はなかなか難しいです。

私も内気なタイプですが、バンド時代から対バンで一緒になったバンドさんには話しかけていたし、ライブハウスの店長にはいろいろと相談したりして、少しずつ関係者とのつながりを増やしていきました。

業界の人脈は将来バンドでやっていくにしろ、フリーになるにしろ、必ず役に立つので、もしバンドをやめてフリーになることを考えるのであれば、バンドに所属しているうちから人脈を広げておくようにしましょう。

ポイント
できるうちにコネを作っておけば、フリーになってから楽ができる

悩み4:ギャラの設定が分からない

Sくん

実際に仕事を受けるってなったときにギャラっていくらに設定すればいいの?

えむ

いくらぐらいもらえらば生活できそうなの?それを基準に考えよう

Sくん

う~ん、あんまり高いと仕事もらえなそうだし、1つの仕事で3,000円ぐらいかな。

えむ

え?正気で言ってんの?

Sくん

やっぱり高かったか……。それじゃ……。

えむ

いや、安すぎるでしょ!それに1つの仕事ってなに?

Sくん

1つは1つでしょー。

えむ

拘束時間の長いライブ、レコーディング、スタジオリハまで一緒にしてるのかよ……。

Sくんの場合は何も考えていない状態で私がガンガン聞いたので、こんな感じになっていますが、サポートミュージシャンをはじめるならしっかりと価格を決めましょう。

やってはいけないのが、その場で何も考えずに価格を決めること。

ライブの打ち上げでお酒もまわった深夜2時。

えむくん!うちのライブでドラム叩いてよ!ギャラ5,000円で!→あざーす!(ギャラ安すぎだけど、この人楽しそうだからいっかー)

こんなのは本当にダメ。

私の場合は仕事の内容ごとに価格表を作っていました。

ライブ、レコーディング、スタジオリハ、ツアーは拘束日ごとに価格を決め、それを基準に仕事の取捨選択をしていったのです。

ライブは実質1日拘束なので、日当でどれだけ必要か考えましょう。

レコーディングも同様ですが、自分の演奏がずっと残りますし、ライブより高い金額を設定します。

スタジオリハは時給です。1時間ごとにいくらにするかを決めましょう。

ツアーは移動も考えると日当よりも高い金額を拘束日数によって決めるべきです。

連日続く場合はまだしも、難しいのは中日(ライブとライブの合間の日)が入る場合。

私は中日に観光して遊んでいたので、中日は拘束日数に含めませんでした。

ツアーの場合はバンド一緒に車移動したほうが安いのか、サポートミュージシャンが新幹線や飛行機で後乗りしたほうが安いのかなど、バンドによって判断が分かれます。

すべての仕事で交通費をもらうのも忘れずに。

価格表を作るのは安易に値下げをしないという意思表示でもあります。

自分の中でしっかりと基準を設けておかないと、その場の勢いで押し切られてしまう場合が出てきます。

自分を必要として価値を感じてくれる人と仕事ができるように、価格をしっかり決めましょう。

ポイント
仕事を受ける前に仕事内容に合わせて価格表を作る

音楽を生業にしたいならギャラをもらうことが大事

今までバンドの一員として音楽活動をしていると、バンド全体の価値を考えることはあっても、自分の価値を考える機会は少ないです。

ミュージシャンの価値とバンドの価値が常にイコールではないこともあります。

好きなバンドで活動して売れるのも、もちろん素晴らしいですし、私もそれを目指していました。

しかし、すべてのミュージシャンがバンドで成功できるわけではありません。

もし1人でも音楽を続けていきたいなら、サポートミュージシャンを目指す選択肢があってもいいと思います。

そしてサポートミュージシャンとして仕事をするときは、必ずギャラをもらいましょう。

音楽業界でお金の話はタブーのようなイメージがありますが、ギャラはミュージシャンの価値の証明でもあります。

Sくんはその後、人気のサポートドラマーになり、音楽1本で生きていけるようになりました。

少しでも多くのサポートミュージシャンが正当なギャラをもらって生活できるようになることを願っています。

まとめに

この記事では、Sくんと私の話を通じてタダ働きミュージシャンが悩む4つの質問に焦点を当てました。

記事で書いたポイント

  • 音楽を仕事にするなら、収益が上がらないバンドをやめることも必要
  • ギャラの支払いを嫌がるのは、あなたが必要なのではなく、ノーギャラのミュージシャンが欲しいだけ
  • できるうちにコネを作っておけば、フリーになってから楽ができる
  • 仕事を受ける前に仕事内容に合わせて価格表を作る

この4つを行えば全てが上手く行くわけではありません。(実力が基準に達していない場合は厳しい)

しかし、知っているのと知らないのでは雲泥の差です。

サポートミュージシャンとしての心得をゲットした上で、ギャラをもらえるミュージシャンになりましょう!

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えむ

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