私は今まで絵画に触れる機会があまりなかった。たまに見たいと思って美術館に足を運ぶことはあっても、その横に書かれている「絵の見方」を読むのに疲れてしまう。
なんとなくいいなと思う絵も、胸に響くような感動まではなかった。
絵画を見るのは好きじゃないのかもしれないと思ったある日。私は鳥居椿先生に出会った。
この記事では、私がはじめて素敵だなと感じた画家・鳥居椿先生について書いてみる。
鳥居椿作品との出会い
2018年8月、私は銀座のヴァニラ画廊で開かれた展覧会『幽霊画廊Ⅳ』に足を運んだ。大好きなホラー漫画家・呪みちる先生の作品を見るためだ。
そこで出会ったのが鳥居椿先生の『選別』だった。
「選別」2016 アルキド樹脂絵具/板 B3https://t.co/EocDminzS8 pic.twitter.com/QA0VgmJDK6
— 鳥居 椿 Torii Tsubaki (@torii_tsubaki) 2016年4月25日
山羊の頭を持つ悪魔の手を取った少女は「選ばれた」のだろう。何が起こるのかハッキリとは分からない。ただ妖しげな雰囲気が絵から溢れ出ていた。私が一番好きな作品だ。
続いて展示されていたのは『訪問者』
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少年がドアを開け、こちらの様子を窺っている。招かれざる客なのだろうか。
どちらにも共通しているのは、絵に存在する「不穏な空気感」だ。私はその雰囲気に吸い込まれて、鳥居椿先生が一気に好きになった。
好きな鳥居椿作品
早速作品集を取り寄せてみた。どれもいいのだが、私が特にお気に入りの作品をいくつか紹介してみたい。
約束
「約束」 2015 水彩/紙 個人蔵https://t.co/EocDminzS8 pic.twitter.com/ekhQN8pY3B
— 鳥居 椿 Torii Tsubaki (@torii_tsubaki) 2017年1月14日
浴槽に沈む少女と水を入れる少女。この絵のタイトルが「約束」というのが、物語を感じてすごく良い。
鳥居先生のTwitterに着彩の様子がアップされており、こちらもすごく綺麗。
過程が残っていたので興味本位でgifにしてみました 「約束」 2015 水彩/紙https://t.co/fMV2Q7YxuX pic.twitter.com/XWsJoA6QNI
— 鳥居 椿 Torii Tsubaki (@torii_tsubaki) 2016年7月15日
接吻
「接吻」 2014 鉛筆・水彩/紙 22×17.5cm 個人蔵 Torii Tsubaki web gallery https://t.co/fMV2Q7YxuX pic.twitter.com/fBsyhpkArJ
— 鳥居 椿 Torii Tsubaki (@torii_tsubaki) 2015年12月7日
少女というモチーフは鳥居先生に欠かせないもの。
死神に魅入られた少女の図だ。『選別』では手をとって連れて行くし、こちらは『接吻』だ。
全体の風合いも不吉さがあって素敵だ。
ここまで紹介した作品はテーマや状況が決して素晴らしくハッピーなものではない。しかし、鳥居先生が切り取る一瞬はとても美しい。
お気に入りのグッズ
鳥居椿先生は絵画だけではなく、さまざまなグッズを販売している。私が購入したなかから、お気に入りのグッズを紹介したい。
作品集
今まで発表してきた作品をまとめた冊子。これまで3冊発表されている。
- 『fin』……死や終わりなど不穏なものがテーマ
この記事で紹介している『接吻』『約束』が収録されている。
- 『Grandiose Delusion』……少女や人形を多く描いている。
この記事で紹介している『選別』が収録されている。それ以外の収録作では、『約束』の世界観とリンクするような『はなむけ』が良い。
- 『femmelette』……成熟した「女性」を描く。妖艶な雰囲気がある。
今までは収録されていなかった和を感じさせる作品も含まれている。
カレンダー
鳥居先生の人形絵を収録した卓上カレンダー。日付の部分と絵の部分が分かれているので、自分の好きな絵柄を選んで飾れる。
ポストカード
一番身近なのがポストカード。
可愛らしい絵から不穏な絵までいろいろと取り揃えている。
私はお気に入りなのはどちらも手で招かれる作品。怪しげな世界に導かれそうな『誘い』美少年たちに連れられていく『サーカスの少年』だ。
おわりに
私はMelting Showcaseというショップイベントで鳥居椿先生にお会いした。とてもチャーミングな方でこんなに温和な方があの怪しげな世界観を作り出していることに驚いた。
次の作品が発表されるのがとても楽しみだ。
Torii Tsubaki|Paintings & Illustrations
鳥居椿先生のオフィシャルウェブ。通販もこちらから。