2018年6月、崇山祟(たかやまたたり)先生初の単行本『恐怖の口が目女(くちがめおんな)』が発売された。
この作品は昭和レトロ風の可愛い絵柄とモンスターの造形がとにかく強烈で、そこに目がいきがちだが、そこかしこにちりばめられたギャグとホラーのミックスも、また癖になる魅力を持っている。
この記事ではあらすじと感想を書き綴る。
『恐怖の口が目女』の登場人物
清心学園新聞部の部長:美空すずめ
新聞部の部員:吉永百合子
考古学者:石原裕一郎
『恐怖の口が目女』のあらすじ《結末ネタバレなし》
新聞部の部長・美空すずめは人をあっと言わせるスクープを求め、血眼になっていた。そんなある日部員の吉永百合子から隣町で「口が目女(くちがめおんな)」を見たと報告される。
はじめは百合子の話を信じず鼻で笑っていたすずめだったが、実際に女を探しに出かけ女の顔を見ると、恐怖のあまり百合子を突き飛ばして逃げてしまう。
一人残された百合子は、その場に現れた考古学者の石原裕一郎によって難を逃れる。
石原は古くは邪馬台国に起源のある「口が目女(くちがめおんな)」について調査しているところだった。石原は百合子とともに学校を訪れ、すずめに協力を依頼する。
そして「口が目女(くちがめおんな)」のアジトを突き止めた3人は、恐るべき陰謀を目撃するのだった。
『恐怖の口が目女』の感想《ネタバレあり》
学園ホラーギャグから、一大スペクタクルに
しょっぱなから女子学生2人が殴り合いながら会話をするシーンで始まり、次々と繰り出されるギャグの勢いに圧倒された。
ギャグ漫画はそれほど得意ではない私だが、ギャグとホラーとが絶妙に混ざり合い、バカバカしいシュールな笑いでグイグイ引っ張られていつの間にか作品世界に引き込まれていた。
そして口が目軍との死闘の末、部員の百合子が倒れるシーンでは、ここまでのギャグ展開を忘れて悲しくなってしまった。
この感動を持続したまま、すずめたちは全面戦争へと進み、結末の超絶展開であっけにとられて物語は終わった。
「うでたまご」の破壊力
本書にはちょこちょこクセになるギャグが出てくる。
私が一番笑ったのは「うでたまご」のシーン。
すずめが口が目女のトリックを暴くとして好物の「うでたまご」を使うのだが「うでたまご」ってなんだよ「ゆでたまご」だろと思っていたら、どうやら地域によっては「うでたまご」と言うらしい。
崇山先生もTwitterで「うでたまご」をネタにしており、それを見てさらに笑った。
— 崇山祟 単行本発売中 この名前 たかやまたたり ってよみます (@takayamatatari) 2018年7月15日
こだわりの装丁
本書は装丁にもこだわっている。
表紙はホラー漫画の雄「ひばり書房」を彷彿とさせるロゴとデザイン。
本文も印刷が非常に凝っていて、最初は白黒、次に赤黒2色、その次はブルーと、パートごとに次々色が変化している。最終章、登場人物たちが死んで死後の世界にたどりつくとフルカラーとなりもはや芸術作品である。
この絵は、どこかで見たことがあるのだが有名な絵画のオマージュだろうか?
無料でためし読みをしてみよう
『恐怖の口が目女』は崇山先生がnoteに連載していた作品だ。
現在でも一部がためし読みできるようになっている。
おわりに
崇山祟先生の『恐怖の口が目女』を紹介した。
はじめは「なんじゃこら、口裂け女かな?」と思いつつ読んでいたが、どんどん作者の個性が爆発して、これまでに見たことのない独自の世界を築いていた。
崇山先生はこれが初めての単行本となる。次回作も楽しみだ。
クチガメー!!