呪みちる作品第2集『押入れのウーリー』あらすじ・感想【一部ネタバレあり】

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呪みちる作品第2集『押入れのウーリー』

『押入れのウーリー』は呪みちる2冊目の作品集だ。
1冊目から1年と空かずに発売されている。
この記事では全7話のあらすじと感想を紹介し、怪奇で耽美な呪作品の魅力を紹介したい。

ここから先は一部ネタバレがある。未見の方はご注意願う。

目次(読みたいところをタップ)

収録作品のあらすじ《結末ネタバレなし》

押入れのウーリー

ルイーズは幼い頃から親戚の家をたらい回しにされて育った。

友達のいないルイーズにとっては芋虫が唯一の友達だった。
芋虫ことばかりを考えていると、芋虫が空想から飛び出し、外の世界に出てくるようになった。

成長したルイーズはウェスタースに恋をした。その様子を芋虫は恨めしそうに遠くから見つめるのだった。

ルイーズの夫となったウェスタースは戦地に赴いていた。
極限状態のなかでウェスタースは妻が芋虫と関係を持つ悪夢をみるようになる。

呪みちる『押入れのウーリー』
出典:呪みちる『押入れのウーリー』p14「押入れのウーリー」(ソフトマジック)

ジグ・ザグ・ボックス

ある日、よし子は学生時代のサークルで一緒だった田中幸代に呼び出された。
幸代はよし子が以前に話した不思議な手品の話を覚えていて、魔術ショーへと連れて行ってくれた。

「ジグ・ザグ・ボックス」はよし子が小学生時代に見た手品を思い出させ、ワクワクさせた。

手品を見終わると、幸代は言った。
「私、座長に言ったの。私を消して欲しいって」
翌日、幸代は自殺した。

獣謳道 レディース限定

OLの青木は極端に気が弱く、喧嘩の場面を見ただけで体が固まってしまう「暴力恐怖症」だった。

そんな自分の性格を直そうと空手道場を見に行った帰り、大神月子に声をかけられた。

そして、月子が代表を務めている護身術プログラムI・U・Nに勧誘された。

I・U・Nは「かみつき」を教えるプログラムだった。
トレーニングの過程で青木の中に眠っていた闘争本能が呼び起こされていく。

背徳の掟

秋代のクラスに転校生がやってきた。
転校生の犬丸は眼帯をつけ、首にはスカーフ、手首に包帯を巻き、クラスの中でも浮いた存在だった。

秋代は犬丸を気にかけ、打ち解ける。
次第に犬丸の性格と美貌に惹かれていったが、いざ犬丸に求愛されると、同性であることから反射的にはねつけてしまった。

素直になれない秋代だったが……。

呪みちる『背徳の掟』
出典:呪みちる『押入れのウーリー』p81「背徳の掟」(ソフトマジック)

呪いの鉄仮面

幸代はクラスメイトからいじめられていた。
いじめの一環として鉄仮面を被せられたとき、幸代は金髪の騎士の幻影を見て、すっかり夢中になってしまう。

それからというもの、幸代は空想の中の騎士を探し続けた。
そして友人が幸代をイジメから救うために呼んだ獅子塚先輩こそ自分が探していた騎士だと確信する。

幸代は獅子塚先輩を礼拝堂へ連れて行った。幸代に乗り移った聖人が、獅子塚先輩に騎士の任務を授けた。

先輩は騎士に乗っ取られてしまった。

暗黒深海

望月は自分の不注意で赤信号で飛び出し、車に轢かれてしまう。

車を運転していた反崎は、望月の家にお見舞いに来て、特殊な海洋深層水を置いていった。
望月がその水を飲むと生まれつき体中にできていたカサブタがみるみるうちに良くなった。

そのうちに肌を露出したドレスを着て外出できるほどになった。
ある晩、望月は自分が化け物に変身する夢を見る。

呪みちる『暗黒深海』
出典:呪みちる『押入れのウーリー』p133「暗黒深海」(ソフトマジック)

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夜空に消える

中学3年生のよし子は塾の帰り、「こども科学博物館」に入って行った。
そこには不気味な展示物ばかりが並んでいた。

出口を探していると、プラネタリウムを見つけ、中に見知らぬ少年・星野がいた。

その日からよし子は受験勉強の息抜きに、プラネタリウムに通うようになった。
さらにのめり込んだよし子は星野と二人で旅に出ると友人に言い残し、消えた。

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【ネタバレ】感想・考察

妖しい世界

呪みちる作品第2集『押入れのウーリー』の中で私が特に好きなのは「ジグ・ザグ・ボックス」だ。

呪先生の妖しい世界とマジックは相性がいい。

「ジグ・ザグ・ボックス」とはいくつか重なったキューブ(立方体)の中に人が入り、キューブをズラすと身体の一部が消えるマジックだ。

実際のマジックショーの様子を見るとキューブのなかに入った女性はだいたい笑顔。
しかし、呪先生はこの女性の笑顔を妖しく影をつけて描いている。そこが怖い。

呪みちる『ジグ・ザグ・ボックス』
出典:呪みちる『押入れのウーリー』p36「ジグ・ザグ・ボックス」(ソフトマジック)

ミステリー

「暗黒深海」も好きな作品のひとつだ。

一時ブームとなった海洋深層水。
2001年には一部の業者が病気に効くように誤認させて販売していたようだ。
呪先生はそこからアイディアを得て広げていったのだろう。

結末近くでミスリードがあるが、オチでまた驚かされる。
望月は何も悪いことをしていなかったのに、救いのないオチがいい。

他の単行本と重複する作品まとめ

呪みちる作品第2集『押入れのウーリー』は現在入手困難となっている。

収録作の多くは単行本「人造人間の怪」と「火星高校の夜」の2冊に収録されており、一部は再収録なしとなっている。

呪みちる初期傑作集I「人造人間の怪」収録
  • 「押入れのウーリー」
  • 「獣謳道 レディース限定」※オリジナルタイトル「狼よ目覚めよ」で収録
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呪みちる初期傑作集II「火星高校の夜」
  • 「ジグ・ザグ・ボックス」
  • 「暗黒深海」
  • 「夜空に消える」
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他単行本再収録なし
  • 「背徳の掟」
  • 「呪いの鉄仮面」

【参考】
『押入れのウーリー』呪みちる(ソフトマジック)

呪みちる作品第2集『押入れのウーリー』

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