笑ゥせぇるすまん徹底考察『たのもしい顔』【ネタバレ解説】

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笑ゥせぇるすまん徹底考察『たのもしい顔』【ネタバレ解説】
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新旧のテレビアニメはもちろん、コミックもコンプリートしている私がおすすめのエピソードを深掘りしていく【笑ゥせぇるすまん徹底考察シリーズ】

この記事で紹介するのは、初代アニメで記念すべき第1話に選ばれた『たのもしい顔』だ。

誰からも頼りにされてしまう男を待つのはどんな末路なのか、そして『たのもしい顔』にはどんなテーマが潜んでいるのかを読み解いていく。

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『たのもしい顔』のお客様

頼母
出典:藤子不二雄Ⓐ 笑ゥせぇるすまん① p163『たのもしい顔』(中公文庫)
  • 氏名:頼母 雄介
  • 年齢:41歳
  • 性別:男性
  • 職業:会社課長

誰からも頼りにされる男。
本人は頼られる事と、常にしっかりした自分でいる事にプレッシャーを感じている。

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『たのもしい顔』のあらすじ(原作)

会社でも家庭でも常に頼られてきた頼母。

その日もバーで後輩たちと酒を飲み、キリッとした様子でバーを去っていった。
バーを出た頼母が道で吐いているところに喪黒が現れ、頼母を介抱する。

頼母は見ず知らずの喪黒に自分が周囲から頼られることの辛さを告白する。
話を聞いた喪黒は「頼母が頼りにできる人」を紹介すると言い、頼母を家まで送り届けた。

翌日、喪黒は頼母の会社を訪れ「頼母が頼りにできる人」が見つかったと伝える。
しかし、頼母は喪黒を追い出してしまう。

その後も妻や部下に頼られ続けた頼母は、ついに限界を超え、喪黒に連絡を取る。

注意
ここから先は作品の結末に言及している。未見の方はご注意願う。

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『たのもしい顔』の見どころ

『たのもしい顔』はバッドエンドか?

笑ゥせぇるすまんといえば、バッドエンド。
しかし、『たのもしい顔』はハッピーエンドだったのではないかと思う。

いつも自分を律して、誰からも頼られる頼母は、その重圧にかなりのストレスを抱えていた。
本来ならば心が休まるはずの自宅でも、妻に頼られ、母に頼られ、心を落ち着ける場所がなかった。

頼母は「観音様」と出会ったことによって、今までのストレスを開放し、安心して人を頼ることができたのだ。
これは頼母にとってのハッピーエンドと言えるだろう。

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『たのもしい顔』のテーマ考察

私が考える『たのもしい顔』のテーマは、

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えむ

「依存される側からの解放」

頼られる事は正義なのか?

『たのもしい顔』は、初出が昭和45年ながら、現在でもある悩みをテーマにしている。

何かが得意、度胸があるなどを理由にして、人に頼られることは誰しも経験があるはずだ。

それぞれ得意な分野で頼り、頼られていれば健全な状態と言えるが、常に頼られてしまう頼母は、休まるときもなく精神的にも辛い状況に置かれてしまう。

「頼りにされる」といえば聞こえはいいが、言い換えれば「利用されている」とも言えるのではないか。

『たのもしい顔』の作中でも部下が車で事故を起こし、その対処に来てほしいと頼まれるシーンがある。
その理由も、相手が怖いから頼母に来てほしいという、なんとも身勝手な理由なのだ。

このシーンこそ「都合よく利用されている」と言えるシーンだ。

頼りにされ続けることの限界

なんでもできるからといって、その人に全て頼り切ってしまっては、いくら超人的な人でも限界が訪れてしまう。その反動が、ラストシーンの頼母だ。

頼られる自分を演じ続け、ついに限界が訪れてしまい、精神が崩壊してしまえば、以前の生活に戻るのは難しい。

誰かを頼って生きるのが、いかに楽な人生なのか。
最後の頼母の顔が、それを物語っているのではないだろうか。

藤子不二雄Ⓐ先生からのメッセージとは?

『たのもしい顔』で藤子不二雄Ⓐ 先生が伝えたかったメッセージは、普段から誰かに頼り切っている人は、自立せよ。

頼られてばかりの人は、その重荷を下ろす決断をしないと精神が壊れてしまうぞ。というものではないだろうか。

何気なく頼りにしている人が、実は精神的につらい状況に置かれているかもしれない。
頼るのも頼られるのも相手の負担にならないようにしなければならない。

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『たのもしい顔』アニメ版レビュー

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原作からの変更点

初代アニメでは記念すべき第1話として放送された『たのもしい顔』

原作では、頼母が芦田伸介に似ているという描写が何回か出てくるが、アニメでは一切言及されない。
※俳優の芦田伸介か?

冒頭で頼母が喪黒に向かって吐いてしまうシーンもアニメ版では見られず、カバンを忘れている設定もない。

ラストシーンで頼母の妻が部屋を訪れるとき、原作では妻のみだが、アニメ版では子連れになっている。

子どもが頼母の姿を見てしまったのかは描写されていないので分からないが、もし見ていたならトラウマになること必須だ。

上記以外は原作に忠実に作られている。最後の女性は、原作のほうが醜いが……。

アニメ版の見どころ

アニメ版『たのもしい顔』で頼母役を担当された声優が素晴らしい。

原作よりも外見がかわいらしくなった頼母だが、声優さんの迫力がありつつも落ち着いた声色によって、頼母の頼もしさが表現されている。

また、店を出ていく頼母に背を向けて、ニヤリと笑う喪黒の演出も不気味さを感じさせる重要なポイントだ。
それ以外にも、月を喪黒の口に見立てるなど良い演出が見られる。

アニメ1話目で喪黒がいかに不気味な存在なのかを視聴者に植え付けただろう。

「観音様」との出会いのシーンでは、花びらが舞い散るなか、巨大な「観音様」に抱かれる頼母が描かれており、その壮大さは必見だ。

ラストシーンはインパクトも強く、現在であれば地上波に流すのも難しいような見事の出来となっている。

YouTube公式チャンネル

『たのもしい顔』のみ、YouTubeの笑ゥせぇるすまん(89~93年版)公式チャンネルで無料公開されている。

気になった方はぜひ見て欲しい。

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【参考】
・藤子不二雄A 笑ゥせぇるすまん 1巻 p163-182 『たのもしい顔』(中公文庫)
・笑ゥせぇるすまん『たのもしい顔』(ポニーキャニオン)

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えむ

えむ

ホラー漫画や怪しげな漫画、バットマン関連の収集に凝っている30代サラリーマン。このブログ「えむ異談」では藤子不二雄(A)、伊藤潤二、呪みちるをはじめとして私が愛する漫画作品を紹介している。

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