伊藤潤二『死びとの恋わずらい』第1話「四つ辻の美少年」ストーリー・解説・おすすめポイント【ネタバレ】

四つ辻の美少年-top

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伊藤潤二先生への愛がほとばしる私、えむ (@mnb_yx)です。

伊藤潤二作品のなかでも、私が大好きな作品である『死びとの恋わずらい』

私もおすすめの作品として伊藤潤二傑作選のおすすめ漫画10選で取り上げています。

まず、霧の深い町で行われる辻占いという設定だけで心がおどりますが、それ以外にも主人公・龍介の過去の行いが影響したり、クラスメイトの想いが切なかったり、様々な見どころがある作品です。

この記事では『死びとの恋わずらい』の第1話「四つ辻の美少年」のストーリーと私が選ぶおすすめポイントを紹介します。

注意
この記事はネタバレを含みますので、未見の方はご注意ください。
作品の説明で、不快な表現がある場合があります。お含みおきくださいませ。 

『死びとの恋わずらい』各話一覧

死びとの恋わずらい-各話-四つ辻の美少年

『死びとの恋わずらい』は全4話+余話の構成です。

ホラー短編が多い伊藤潤二作品の中では珍しい連作モノです。

この記事では第1話「四つ辻の美少年」を紹介していきます。

『死びとの恋わずらい』第1話「四つ辻の美少年」の人物相関図

四つ辻の美少年-相関図

第1話「四つ辻の美少年」に登場する主な人物は3人。

主人公の龍介と幼稚園時代の友たち、みどり。みどりの親友の鈴枝。

龍介、みどり、鈴枝はこの後三角関係になりますが、そこだけ見ればラブコメ。しかし伊藤潤二先生の手にかかればそう単純にはいきません。

その他2人は人物と呼べるか難しいですが、四つ辻の美少年とみどりの叔母も主要人物です。

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『死びとの恋わずらい』第1話「四つ辻の美少年」のストーリー【ネタバレ】

霧深い町・難澄市。この町では交差点で待ち、最初に通りかかった人に自分の悩みを打ち明け、その人の言葉で占いをする辻占が行われている。

今日も女子校生の辻占に答える中年男性がいた。

恋占を希望した彼女に対して、中年男性はうまくいくから積極的にやってごらんと伝えた。

 

電車に揺られながら、昔住んでいた難澄市に戻ってきた深田龍介は、浮かない表情を浮かべていた。

前の町に未練があるのかと尋ねる母に、そうではないと答える龍介。

駅に着くと父が出迎えてくれた。先程辻占に遭遇したという。父の話では最近子供たちの間で流行しているらしい。

会話する両親の後ろでは、青白い顔をした龍介が立っていた。

学校では龍介が新入生としてクラスメイトに紹介されていた。

龍介の後ろから声がかかった。幼稚園が一緒だった柴山みどりだ。

 

放課後、みどりは親友の田中鈴枝を龍介に紹介する。鈴枝と龍介は幼稚園が別だったため、面識がない。

鈴江は女子の間で、龍介がかっこいいと評判になっているが、みどりがいるので勝ち目がないと言われていることを二人に伝えた。

慌てるみどりをよそに鈴江は、みどりが男子生徒に人気があること、みどりとの相性を占う辻占が多いと告げる。

辻占なんて当たるわけがないとつっぱねるみどりに、そうでもないという鈴江。

みどりは辻占で最悪の占いをされたらどうするのかと鈴江に問うが、鈴江は占いにリスクはつきものだ言い切る。

鈴江は龍介にも辻占についてどう思うか聞くが、辻占なんてやるもんじゃないと言った龍介は一人で帰ってしまった。

 

自分の部屋から外を眺める龍介は、霧に包まれた町を見ながら辻占が行われる事を考えて寒気を覚えるのだった。

 

霧の中、辻占を待つ女子生徒がいた。

いよいよ人が通りかかり、自分の顔をカバンで隠しながら、自分の恋が実るか聞いた女子生徒。

チラッと相手を見たところ、そこには美少年が立っていた。

そして「その恋は絶対に実らない」と伝え、その場を去った。

翌日の学校では、辻で女子生徒が自ら命を絶っていたことが話題になっていた。

どうやら辻占をやっていたらしいということと、10年前にも同じような事件があったことを聞いた龍介は教室を出ていった。

 

10年前の出来事を思い出して怯える龍介。

この町に戻ってきたことも自分への罰だと考えていた。

 

10年前。

引っ越しが決まり、友達との別れを嫌がった龍介は母とケンカして家を飛び出した。

泣きながら辻をさまよった龍介は、ある女性に呼び止められる。

女性には好きな人がいるが、その人には妻子がいること。その彼の子供を妊娠しているが、おろせと言われていることが説明されたあと、その彼との恋が実るのかと聞かれた龍介。

機嫌が悪かった龍介は、そんなものは実らないと言って走り去ってしまった。

 

女性の様子が気になった龍介は翌朝に女性と会った場所に向かった。

そこには亡くなった女性が横たわっていた。

 

自分の過去を思い出していた龍介にみどりが声をかけた。

龍介が辻占に嫌な思い出があるではないかと心配するみどりに、思い過ごしだと伝える龍介。

みどりも辻占には嫌な思い出があるらしい。

それは10年前にみどりの叔母が辻占のあとに命を絶ったという思い出だった。

話を聞いた龍介はヨロヨロと立ち上がり、その場をあとにした。

 

一人で下校するみどりを鈴枝が追いかけてきた。

龍介とみどりの関係を心配した鈴枝は、なぜみどりを避けるのか龍介に問いただすことを引き受ける。

 

龍介と話す鈴枝。

なぜみどりを避けるのか、みどりが嫌いになったのかと龍介に問う、鈴枝。

龍介は、みどりが嫌いではないが、好きになる資格がない、仕方がないと言い座り込んでしまった。

手助けをすると言う鈴江だったが、龍介は受け入れず、鈴江はその場を去った。

 

辻で相談相手を待つ鈴枝の前に四つ辻の美少年が現れる。

龍介とみどりの関係修復について尋ねた鈴枝に対して、四つ辻の美少年は「そんなことより自分の恋の心配をしろ」と告げて立ち去った。

 

みどりは龍介の反応を鈴枝に聞いたが、彼は終わりにしたいと言っていると答えた鈴江。

続けて辻占をしたこと、そこで四つ辻の美少年に会ったことを告げる。

そして、鈴江は龍介のことが好きだったと叫び、龍介に伝えると言いながら去っていった。

 

それからの鈴枝は龍介につきまとい、ひっきりなしに電話をかけ、玄関で待っているようになった。

鈴枝の様子はまるで病人のようだ。

玄関前で弁当を渡そうとする鈴枝に自分の弁当はあると突き返す龍介。

龍介の分は私がなんとかすると言って龍介のカバンを奪い取ろうとする鈴枝に怒った龍介は鈴枝を払い除けた。

そして、みどりが好きなこと、鈴枝が入り込む余地はないことをハッキリと伝える。

「私の恋はどうなるの?」と聞く鈴枝に「知るか」と憤る龍介。

そこで鈴枝は四つ辻の美少年の言うとおりにしたのになぜと混乱する。

辻占を信じるあまり、辻占に合わせようとしていると伝える龍介だったが、そんなことはないと否定する鈴枝だった。

 

教室の窓から外を眺める龍介に男子生徒が声をかける。

彼の話によると辻占の犠牲者は4人を数えるらしい。

そんな話をしている龍介を教室の外から鈴枝が見つめていた。

 

学校からの帰り道。

龍介の後をつける鈴枝に、今朝は言い過ぎたと謝罪し、友達としてならかまわないと伝える龍介。

龍介がみどりを避ける理由を話そうとした瞬間、鈴枝は自ら死を選んでしまった。

 

龍介は辻占の後に命を絶った方法が10年前のあの女性と同じであることと、龍介がこの町に戻ってきたのと同じタイミングで四つ辻の美少年が現れたことから、四つ辻の美少年を探すことを決意する。

 

5人の被害者が亡くなった場所を地図に記していくと、その中心が10年前のあの場所であることに気づいた龍介は、霧の中を歩きまわっていた。

その途中で辻占に遭遇することもあったが、四つ辻の美少年と正反対のことをやるべく、できるだけ誠意を持って対応していた。

 

そんなある日、龍介を辻で待っていたのは血だらけの少女だった。

恋は実るかと聞く少女に実ると答える龍介だったが、その後も同じようなことが起こり、彼女たちが辻占の犠牲者であることに気づく。その証拠に鈴枝も現れたのだった。

 

それでも辻占をやめない龍介を心配したみどりが声をかけた。

龍介がどんどんやつれてしまい、心配だと伝えるが、それをはねのけた龍介は四つ辻の美少年を見つけるまで辻占をやめないという。

追いかけたみどりだったが、霧の中で龍介を見失ってしまった。

一方の龍介の前には、ついに四つ辻の美少年が現れた。必死にあとを追った龍介だったが、途中で見失ってしまった。

龍介が立ち止まった場所は10年前、龍介が辻占をしたあの場所だった。

そこに現れた10年前の女性。

必死に許しを請う龍介に、女性はある方向を指差した。

 

龍介を探していたみどりは道に迷っていた。

そのとき、辻の先から四つ辻の美少年がこちらに歩いてきた。

焦るみどり。そのみどりの肩に手がかかった。みどりが振り返ると龍介がいた。

みどりは龍介がなぜここにいるのかと聞く、龍介はある女性の指差す方向に進んだらここに辿りついたと答える。

ふと思い出したように四つ辻の美少年を見たと伝えるみどりだったが、そこに四つ辻の美少年の姿はなく、霧も晴れていた。

 

※出典:伊藤潤二傑作集4『死びとの恋わずらい』p3-68「四つ辻の美少年」

『死びとの恋わずらい』第1話「四つ辻の美少年」の見どころ・おすすめポイント

龍介の幼少期の記憶

『死びとの恋わずらい』で大きな鍵を握るのは龍介が10年前に答えた辻占です。

その辻占の様子が「四つ辻の美少年」の中で語られます。

なぜ龍介が辻占をこんなに恐れるのか、みどりとの関係は今度どうなるのか。それを抑えるにはまず「四つ辻の美少年」を読んで、10年前、龍介はどんな罪を犯してしまったのか理解しておく必要があるでしょう。

ある意味龍介のせいで死んでしまった女性が、「四つ辻の美少年」のラストで龍介をみどりのところに導くシーンはグッとくるものがありますよ!

鈴枝ちゃんの想い

最初はみどりの良き相談役として登場した鈴枝ちゃんですが、四つ辻の美少年との出会いから龍介へ想いを爆発させます。

隠していた龍介への想いをストレートに表現しはじめた鈴枝ちゃんが、龍介につきまとい、朝も弁当を持って家の前で待っているシーンは切なさがつまっています。

作ってきたお弁当を龍介に手で払われて、「うせろ!」と言われたときの鈴枝ちゃんの表情。もう悲しいですよ。ひたすらに。

ここで鈴枝ちゃんの名言が飛び出します。

えむ
死ぬほど好きーーー!!!

そして亡くなる前、龍介に「友達としてなら」と言われたときの鈴枝ちゃんの涙。もう切なさが辛い。

あれほどの美少女だった鈴枝ちゃんが、どんどんやつれてしまい、最後には命を絶ってしまう。鈴枝ちゃんの純粋な想いを悪用した四つ辻の美少年には怒りしか感じませんね。

この鈴枝ちゃんを見るためだけに「四つ辻の美少年」を買っても後悔しません!

えむ
切ない。切ないよ鈴枝ちゃん!

『死びとの恋わずらい』第1話「四つ辻の美少年」のみ読みたい場合は、Kindle版で1作品購入するできます。
2話以降は収録されていないので、ご注意ください。

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ABOUTこの記事をかいた人

えむ

アラサーサブカル男子が「R30向けの情報を発信する」サブカルチャーブログ「雲外蒼天」の中の人です。 メインジャンルは音楽、マンガ、本。 音楽に関しては、元ヴィジュアル系バンドのドラマーという経歴から、バンド活動についても書いています。 ちなみにメンズです。 《詳しいプロフィールページはこちら⦆