伊藤潤二『侵入者』ストーリー・おすすめポイント【ネタバレ】

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伊藤潤二作品の人気シリーズ押切異談。シリーズうちの1つが『侵入者』だ。

私もおすすめの作品として伊藤潤二傑作選のおすすめ漫画10選で取り上げている。

図書室で意気投合した友人と怪奇を目撃する物語ですが、押切異談のスタートとなる『首幻想』ともリンクする作品だ。

この記事では『侵入者』のストーリーと私が選ぶおすすめポイントを紹介する。

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注意
この記事にはネタバレを含む。
また、生理的に不快な表現があるため、ご注意願いたい。

目次(読みたいところをタップ)

『押切異談』シリーズ一覧

押切異談作品一覧-侵入者

押切トオルが主人公の怪奇作品『押切異談』は全部で6作品ある。
今回紹介するのは押切屋敷が舞台となる『侵入者』だ。

『侵入者』の人物相関図

侵入者-人物相関図

『侵入者』の登場人物は少ない。

主人公・押切トオル、冒頭でトオルを心配して屋敷にやってきた親戚の隆幸。
図書館でトオルに声をかけ、仲間に誘った神山。神山の友人で、トオルを仲間に迎え入れた小泉、渡辺。

それともう1人のトオルだ。

『侵入者』のストーリー【ネタバレ】

押切トオルが住む屋敷では、謎の足音が聞こえていた。

親戚の隆幸兄さんを屋敷に呼んで、足音の存在を確認してもらったが、隆幸兄さんにも聞こえるという。
二人で屋敷内を探すが、それらしき姿は見えなった。

隆幸兄さんは、トオルの様子を心配して自分の家に来ないかと持ちかけるが、トオルは大丈夫だと答えた。

翌日、図書室で『世界の七不思議』という本を見つけたトオルは、机の一角でその本を読み始めた。

トオルが座った机には、他に三人の生徒がいた。そのうちの1人、神山は目に見えない気配を感じると話していた。それは幽霊ではない、異次元の人間の気配だという。

3人で異次元について話をしていると、「パミューダ魔のトライアングル」の話が出る。

「パミューダ魔のトライアングル」については『世界の七不思議』に載っているという話になった3人は、目の前にあった『世界の七不思議』を手に取り、パミューダのページを探し始めた。

そして、ページを探している途中に、元々トオルが読んでいた本を取り上げてしまったと気がついた3人はトオルに謝罪する。
トオルは本を渡そうとするが、神山から異次元について話そうと誘われる。

トオルは異次元に興味があると答えると、仲間に入れられ、他の2人(渡辺、小泉)から自己紹介を受ける。
盛り上がった3人は、なかば強引にトオルを誘いファストフードで異次元に語り合うことにした。

それからは、4人で超常現象について話すようになり、トオルも楽しんでいた。
トオルが自分の屋敷で聞こえる足音について話すと、亡霊ではないかと盛り上がった3人にはトオルの家に行くことを決めてしまう。

トオルの屋敷に入った3人は、屋敷の広さに驚いていた。神山は、この屋敷に異様なものを感じるらしい。
足跡がするのはいつ頃かと聞かれたトオルは、夜中が多いが、昼間も時々聞こえると答えた。

夜遅くまで待つ3人に帰るよう促すトオル。
神山は屋敷から異次元の住人の気配を感じると言い出した。その足音は異次元の住人のものではないかと。

盛り上がった3人だったが、この日は帰ることになった。

しかし、神山は次こそ異次元の正体を究明すると決意する。他の2人も同様に気分が盛り上がっているようで、トオルもまんざらではないようだ。

改めて屋敷に集まった神山たち3人は異次元の入り口を調べるべく、すべての部屋チェックしたが、それらしいものは見つからなかった。

諦めきれない3人は泊まりこんで足音が待つ。するとコツコツと足音が聞こえてきた。
音のする方へ向かうと庭で穴を掘るトオルがいた。誰かの亡骸を埋めようとしているようだ。

神山はそれが異次元のトオルだと指摘する。
トオルは異次元のトオルに声を掛けるが、異次元のトオルはこちらを指さして笑い、姿を消した。

庭に来た一行。神山は異次元の存在に興奮するが、トオルは動揺が隠せない。
神山は異次元のトオルが行ったことであり、トオルの人格を疑うようなことはないと言う。

その時、小泉が何かを見つけた。それは神山、渡辺、小泉、3人が埋められた姿。
異次元のトオルが3人を埋めたようだ。

微妙な雰囲気が流れるなか、3人は異次元の自分たちを埋めなおした。その後、トオルと3人のつきあいはなくなった。

屋敷では依然として足音が聞こえていた。トオルへの殺意をもって。

『侵入者』の見どころ・おすすめポイント

押切異談の中心的作品

『侵入者』は押切異談の他作品といろいろな点でリンクしている。

  • 庭に穴を掘って埋めるのは『首幻想』
  • 足音に悩まされるのは『ペンフレンド』
  • 異次元のトオルの存在『押切異談』『押切異談・壁』

押切異談シリーズを1度読んでから『侵入者』を読み返すと、各話のつながりが見えて、より楽しめる。

埋められた渡辺と小泉の亡骸が美しい

異次元のトオルによって埋められた3人。
埋められる途中で発見された神山はそのままの状態だったが、すでに埋められていた2人はその姿を変えた。

ここで見るポイントは、2人の劣化に差があること。

この2人の状態を見れば、最初に埋められたのは渡辺で、その後が小泉だったことは分かる。

えむ

伊藤潤二先生が丁寧に書き分ける亡骸はとても美しいわ

『侵入者』のみ読みたい方はKindle版がおすすめ。

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【参考】
・伊藤潤二傑作集10 『フランケンシュタイン』p99-130「侵入者」

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