【あらすじ・感想】諸星大二郎『雨の日はお化けがいるから』はノスタルジックで不思議な怪異譚

諸星大二郎『雨の日はお化けがいるから』

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ホラー漫画好きの私、えむ(@mnb_yx)です。

ホラー漫画に興味を持ってからの私は、伊藤潤二先生や楳図かずお先生の作品ばかり読んでいた。

諸星大二郎先生の作品は『栞と紙魚子』しか読んでおらず、もうそろそろ諸星大二郎作品にも手を出そうと、新刊で発売されていた諸星大二郎劇場第1集『雨の日はお化けがいるから』を手に取った。

読み進めてみると、怪奇でありながらも、どこか儚く、クスっとできるような名作で、私はなぜ今まで諸星大二郎作品を読んでこなかったのか後悔した。

この記事では、諸星大二郎劇場第1集『雨の日はお化けがいるから』を紹介する。

第2集『オリオンラジオの夜』はこちら↓

諸星大二郎『オリオンラジオの夜』

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2019-02-17

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『雨の日はお化けがいるから』収録作品

  • 異界との綱引き「闇綱祭り」
  • お化けとルールを作る「雨の日はお化けがいるから」
  • ゴジラの夢を見る「ゴジラを見た少年」
  • 影が動き出す「影人」
  • 不思議な読後感「(眼鏡なしで)右と左に見えるもの〜エリック・サティー氏への親愛なる手紙〜」
  • 悪趣味クラブでの会話「空気のような・・・」
  • 博士のお茶目奇談「怒々山博士と謎の遺跡」
  • 博士のお茶目奇談その2「怒々山博士と巨石遺構」
  • 川から流れてくる物「河畔にて」1〜3話

いずれもグロテスクな表現で恐怖を煽ってくるような作品ではなく、「不思議」がメインだ。
そのため、ホラー漫画の過激な描写は苦手だけど、不思議な話は好きという方にはおすすめ。

おすすめ作品「闇綱祭り」

「闇綱祭り」あらすじ

リューイチは町で行われていた闇綱祭りの「オツナヒキ」のヒキテ(引き手)に選ばれた。

オツナヒキは見えない相手との勝負で、わざと引き分けにするように決まっている。去年は一番前の引き手が向こう側に引き込まれ行方不明となった。今年一番前で綱を引くよう指名されたのはリューイチの友人フトシ。フトシは恐怖のあまり綱を強く引っ張りすぎてしまい、向こう側から「何か」がこちらに出てきてしまう。

諸星大二郎『闇綱祭り』

出典:諸星大二郎『雨の日はお化けがいるから』p15「闇綱祭り 」(小学館)

「闇綱祭り」感想

闇綱祭りの掟が破られたために恐怖が生まれる。この恐怖は誰しもが持っている闇と言えるのではないだろうか。

それぞれが距離を保っていれば、お互いが気にすることなく日々を過ごしていけるが、その距離が崩れてしまった途端に関係がおかしくなるような状態。

お互いが適切な力で引っ張っていた綱が、緩めたり強く引っ張ったりしてしまうことで、関係が壊れてしまう。

闇綱祭りという特異な行事に日常の人間関係を重ねてしまった。

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おすすめ作品「雨の日はお化けがいるから」

「雨の日はお化けがいるから」あらすじ

守は雨の日が嫌いだ。お化けに会ってしまうから。

そこで守はルールを作った。雨の日の下校時はあえて自分からお化けを探して、見つけたら相手に気づかれないように戻る。見つからなければその日は他のお化けには出会わないというルールだ。

ところがある日、自分が見つけるより先に見つかってしまう。追いかけられ、焦っていた守は道に迷ってしまった。

諸星大二郎『雨の日はお化けがいるから』

出典:諸星大二郎『雨の日はお化けがいるから』p43「雨の日はお化けがいるから」(小学館)

「雨の日はお化けがいるから」感想

私がまだ小さかった頃、よく近所を探検していた。
まだ日があるうちは、ズンズンと進んで行けるが、夕暮れが近くなると途端に恐怖と寂しさで家へと逃げ帰るような臆病な子供だった。
夜は暗闇そのものが怖いが、夕暮れには日が沈むとの一緒に私も引っ張られて消えてしまうような恐怖があった。

大人になってから振り返ると、あの頃の私は臆病で、ありもしない何かを恐れすぎていたと思う。
『雨の日はお化けがいるから』では、不思議な少女が救ってくれるが、私の前にもあのような少女が現れてくれればもっと勇敢な子どもになれていた気がする。

おわりに

諸星大二郎劇場第1集『雨の日はお化けがいるから』は過激な描写はない。

ノスタルジックで不思議な作品が多く収録されているので、ホラーに興味あるというよりも不思議な話が好きな人におすすめできる漫画だ。

私のおすすめ作品としては「闇綱祭り」「雨の日にはお化けがいるから」をあげた。2つの作品ともに不思議でノスタルジックな雰囲気を存分に味わえる作品。

それ以外にも不思議で軽妙なタッチの「影人」や少しホラーな「空気ような・・・」など、バラエティに飛んだ『雨の日はお化けがいるから』は休日前の夜にのんびりとした時間のお供に最適だろう。

諸星大二郎『オリオンラジオの夜』

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ABOUTこの記事をかいた人

えむ

V系でプロのドラマーとして10年間活動後、引退しました。 過去の経験を活かし、バンドマンへのアドバイス記事を書いています。 現在はサラリーマンとして勤務する傍ら、古本屋めぐりとホラー漫画の収集に凝っています。このブログでは藤子不二雄(A)、伊藤潤二、呪みちるをはじめとして私が愛する漫画作品を紹介します。