2019年6月9日、呪みちる先生、稲垣みさお先生のトークライブが開かれた。ゲストは漫画家の千之ナイフ先生、DATゾイドさん。
この記事では、私が参加したイベントの一部をレポートする。
- イベント名:『呪みちる・稲垣みさおホラートークショー第14弾』
- 日時:2019/6/9 16:00~
- 場所:よるのひるね(http://yoruhiru.com/)
- 住所:〒166-0001 東京都杉並区阿佐谷北2-13-4
- 入場料:¥1,500+ドリンク代
入場まで
私は稲垣みさお先生のツイートで開催を知って予約をした。開催前までに予約で満席となった。
15時30分頃、クロジョと共に現地に到着した。前回よりも早めに来たが、すでに10数人が列をなしていた。
関東はすでに梅雨入りしており、並んでいる最中、本降りの雨が降ってきた。
定刻の16時に入場スタート。料金の支払いとドリンクのオーダー・受け取り、物販購入も同時に行われるため、ゆっくりと列は進んでいった。
私は呪みちる先生の同人誌と缶バッジを購入した。
トークライブの内容
呪先生がデジタル作画に!?
呪先生はアナログからデジタルに移行を検討中。
稲垣先生が「アナログ絵のほうがいい人ー?」と挙手を求めると、続々と手が上がった。
私も手を挙げた一人だ。デジタル絵にはのっぺりとした印象があり、アナログのほうが線の鮮やかさを感じるからだ。
しかし、昨今は掲載媒体が紙からデジタルに変わることでページ数が増えているそうだ。作画をデジタル化することによって、描くスピードが上がるのは利点だと話していた。
稲垣先生からは、「デジタルのほうがページ数がいっぱい読めるぞー!」とのコメントがあり、それはそれでうれしいなーと思った。
千之ナイフ先生の「なまなりさん」エピソード
ゲスト・千之ナイフ先生が登場した。
「新耳袋」作者・中山市朗先生の原作を基にしたコミカライズ「なまなりさん」関連のエピソードトーク。
「なまなりさん」とは生霊の話で、生霊は死霊よりも厄介なのだという。そのまま描くと危ないので、霊の干渉を避けるためにも、千乃先生は少し話をアレンジして描いた。
それでも描いている途中は、身の回りに変な出来事や奇怪な出来事が起こったそうだ。
その一つが夢だった。千乃先生は連日火災の後の現場を歩き回る夢を見ていた。夢の中でも熱気がこもって「あつい」と感じ、焦げ臭い匂いを嗅いで喉が痛くなった。何度も何度も、火事場をさまよう夢を見たという。
ある晩、夢の中にレスキュー隊が登場し、焼け焦げた女性の遺体が発見されたのを見てから、火事場の夢は見なくなった。
後日、中山市朗先生の縁で霊能者を呼んで部屋を見てもらったところ、「なまなりさんは来ていたが、もういなくなっている」と言われたそうだ。
表紙に能面を使用した理由は、「なまなりさん」で画像検索したときに京都の能面師のWebサイトが出てきて、なんとも言えない怖さと美しさを感じた。
そこでその能面師にコンタクトを取って、能面を購入し演出として使用したそうだ。現物は袋に入れて自宅に保管している。
今回、持ってこようかと思ったが、われわれ観客が「キャー」とか「こわい」といった感情を出すと、その感情が能面に入り込んでしまうため、あえて持ってこなかったのだという。
のっけから、本格的にこわい怪談話を聞かせていただき、会場が盛り上がった。
死霊よりも怖い生霊を回避するには、般若心経や磁石(マグネループ)、炭、塩が有効だそうだ。
磁場を変えるスマホ、周波数を変える音叉も効果があるらしい。
宇宙人の謎
千之先生がゲストとして登場するのは今回が二回目。前回登場した際に話題にのぼった54種類の宇宙人の話から、呪先生が愛読する『宇宙人大図鑑』を参照しつつ、先生方による宇宙人考察がスタートした。
ゾイドさんもトークに加わり、ひとしきり宇宙人の話となった。
『宇宙人大図鑑』について呪先生から解説が入る。
グリーン・アローというメカ系の出版社から出ている本で、いわゆる宇宙人本とは違っている。
いわゆる宇宙人本と言えば、みんなが知っている「グレイ」を中心として、話を誇張して描いたものが多いが、この本はそうではない。
目撃者の証言をそのまま採用して、リアルに描いた結果……宇宙人というよりは、遊園地に出てきそうなキャラクター的な姿や、ただの太ったおじさんのような姿だったりとなんともバカバカしいのだ。
千之先生が元NASAの人から聞いた話によると、宇宙人はすでにわれわれに混じって普通に生活している。
星によってボランティアで来ている者もいれば、命令で来てる者もいるらしい。侵略する目的ではなく、友好的な理由で来ているそうだ。
『人魚のミイラ』
呪先生が旅先の岐阜で見た人魚のミイラの話。
親からお小遣いをもらい子どもだけで入場した珍品館には、源平合戦のいわくがあるものや、あやしげなもの、気持ちが悪い物が並んでいた。展示の最後に目玉として、人魚のミイラがあった。
ガラスケースの前に足を踏み入れると、テープによるアナウンスが始まり、30~40cmの長さのミイラがお披露目された。
猿のような上半身に、魚のような下半身がついており、もっとよく見たいと思って身を乗り出すと、サッと幕が閉まり、終わってしまったそうだ。
今では珍品館はなくなってしまい、真相は分からない。
同行のジョヴァンナいわく、昔「人魚のミイラ」が流行った時期があり、各地でそういうものが作られていたそうだ。
先生方から、今後の刊行予定のお知らせ
呪みちる先生
呪先生はホラーの超有名作品のスピンオフを制作中。原作者から好きなように描いて欲しいと言われ、世界観だけを踏襲しながらストーリーはオリジナルで展開しているとのこと。配信時期は未定。
7/25より、阿佐ヶ谷VOIDにて合同原画展を開催予定。
Amazonの有料放送「チャンネル恐怖」に7月頃出演する予定だ。
稲垣みさお先生
前回のイベントで予告していた永山則夫のマンガが、いよいよ10月から配信予定。
デジタル作画で、もう半分くらい描いたとのこと。
千之ナイフ先生
最近は同人活動が中心。
「女性自身」に描いたものにカラーをつけ、一冊にまとめたのが最近出した「人形姫」という単行本である。
ホラー漫画の構想があるが、編集者に見せると、スプラッタすぎてなかなか掲載が難しそう。
Amazonの有料放送「チャンネル恐怖」に10月頃、出演予定だ。
私の感想
宇宙人大好きの呪先生らしい『宇宙人大図鑑』の解説が面白かった。
私は宇宙人には疎いのだが、トークショーが終わったあと興味を持ってさっそく購入した。(同じことを考える人が何人かいたようで、Amazonの在庫が終了後何冊か減っていた。)
とっつきやすい内容とバカバカしさが良い感じにMIXされた本だ。
呪先生の蔵書を知ることができたのは、頭の中をのぞき見できたようでファンとしては嬉しかった。
呪先生がこのイベントのたびに発行しているお手製の同人誌については、今後単行本化される予定のない作品も一部入っているらしい。
ファンからすれば、ここでしか読めない貴重な作品であり、どれも面白いと感じる。どんな形であっても手元に置いて読めるのはありがたい。(稲垣先生も同様にコメントしていた)
千之ナイフ先生は、私は初めてお顔を拝見したのだが、トークがスラスラと出てくるタイプで、呪先生との掛け合いがおもしろかった。
宇宙人だけではなく、心霊話をもっと聞きたかった。
今回は稲垣先生が裏方に回ってしまい、プロジェクタなどの操作に忙しく、あまりお話に参加されていなかったのは残念だった。
リピーターがほとんどのイベントだが、もしこの記事を読んで初めて行く人がいれば、会場内が狭いことと、椅子が硬いので腰痛持ちの人は薄い座布団などを持っていく事をおすすめしたい。